ビター・スウィート





「こっちの信号を右だな。行くぞ」

「はい!」



それから三時間後。ホテルを出た私と内海さんは、朝十時前の大阪の街を二人で歩いていた。

日曜日ということもあり、この時間から早くも街は沢山の人でにぎわっている。

そんな人混みを必死に歩きながら身あげれば、隣を歩く内海さんは先程の寝ぼけた顔とはまるで違う、いつも通り目つきの悪い顔で黒い髪と同じ色のジャケットを揺らしている。



昨日同様、今日も首元にはしっかりと締められた青いネクタイ。



「すごい人……混んでますね」

「まぁ日曜だしな。今日行く展示場は少し位置も複雑で、一番人の多い通りを抜けるからはぐれるなよ」

「は、はい」



これから私たちが向かう展示会は、昨日打ち合わせをした『gigs』の新作展示会。

内海さんですら地図を見ながらじゃないと行けないくらい会場の位置は複雑だし、それに加えこの人混み……彼についていくしか出来ない私にとっては、はぐれたらおしまいだ。

ちゃんと後をついていかなきゃ……!まぁ、内海さんは背も大きいし、見失うことはないと思うけど。