「内海さんが酔い潰れてしまったので送ってきたら、離してもらえなくて……そのまま寝ちゃってただけです。それ以上は何もありません!」
「俺、が……」
そう、何もなかった。何も、何もない……けど。……カノンって、誰だろう。
ってまた気にしてる私!関係ないのに!
頭の中にまた浮かぶ名前をかき消すと、シワシワになったスーツを手で軽く直しながら部屋のドアへと向かう。
「じゃ、じゃあ私は一回部屋で支度し直してきますから」
「あぁ。今が六時半だから……三時間後にロビーで合流な」
「は、はい」
「……と、永井。本当に何もなかったんだろうな」
「え!?あっ、ない!ないですから!」
そんな私のよそよそしさに何かを感じとったのか今一度問いただす内海さんに、私は不自然なくらい必死に否定すると逃げるように部屋を出た。



