「っ……!?う、内海さ……!?」
体をしっかりと包む、その固い腕。突然のことに、心臓がドッと跳ねた。
「あの、離して……」
「……んー……」
押し当てられる胸板から顔をあげ言うものの、横になったことで落ち着いてしまったのか返ってくるのは眠そうな声のみで、腕がほどかれる気配はない。
ど、どうしよう……。
ドク、ドクと聞こえる心臓の音。彼の鼓動が余計私を緊張させる。
……腕が、力強い。内海さんの匂いに包まれて、私の心臓までドキドキと強く音を立て始める。
ほどかなきゃ、体を離さなきゃ。そう思うのに、このままでいたい気持ちにもさせて、動けなくなる。
「……ん、」
「内海さん……?」
「……カノン……」
……カノ、ン?
その時、内海さんが寝言のように小さく呟いた名前。
カノンって、誰だろう。きっと女性、だよね?
夢に見ているその人のことを思って、私を抱き締めている?この強い腕は、その人のためのもの?
湧き上がる疑問に、ズキと痛む胸。
どうして、だろう。私には関係のないことなのに、考えれば考えるほどこんなにも心を刺すのは。
胸が、痛い。



