そう内海さんの体を支えながら、やっとの思いで来た駅前のビジネスホテル。
十階建ての決して豪華なわけではないけれど清潔感のある建物の中を歩き、エレベーターに乗ると『5』のボタンを押した。
内海さんの部屋は、511号室。私はその隣の512号室、か。
ポーン、と鳴った音とともに止まったエレベーターから降りると、少し歩いたところに『511』と書かれた部屋を見つけ、鍵を開け中へ入った。
「内海さん、つきましたよ」
「ん……おー……」
内海さんは部屋に入った途端、私の身体から離れ目の前のベッドへごろんと仰向けに寝転がる。
「あっ、もう。スーツ脱がないとシワになっちゃいます」
「おー……」
「って聞いてないですね……」
せめて上着くらいは、と私は彼の黒いジャケットを脱がせる。
「……ネクタイも、とって」
「え?あっ……はい、」
『とって』なんて、まるで子どものような甘えた言い方にドキリとしながら、そっと手を伸ばしその首もとのネクタイをほどくと、ボタンをふたつほど外した。
「これで大丈夫ですか?水飲みます?」
「おー……」
屈んだ形で彼に顔を近付け尋ねると、何を思ったのか内海さんは突然私の腕を引っ張り体を抱き寄せた。



