ビター・スウィート





『大阪、大阪ー……』



東京を出てから三時間ほど。ようやく着いた大阪駅で内海さんはうーんと体を伸ばす。



「あー、よく寝た」

「そ、そうですか……」



あの後、着くまで同じ体勢で眠り続けていた内海さんは心なしかすっきりとした顔をしている。

その反面で私はぐったりとした顔で荷物を持っていた。



ま、まさか大阪まで起きないとは……ドキドキしたまま三時間……私の心臓がもたないよ。



「永井?どうかしたか?」

「いえ、何でも……」

「ならいいけど。ほら、行くぞ」



ってあなたのせいですけどね!!

そんな私の気持ちも知るわけもなく、内海さんは自分の荷物を持ち歩き出す。



そして近くにある宿泊先のホテルへと荷物を置いてから、電車に乗り数十分。やってきたのは駅から徒歩数分のところにある大きなビル。その中の二階、三階には『株式会社gigs』とプレートに書かれている。



「お世話になっております。フィールド・リンク株式会社、商品部の内海です」

「同じく商品部の永井です。本日はよろしくお願い致します」



その中の応接室で名刺を渡しながら頭を下げる内海さんと私に、取引先である『gigs』の社員二人は名刺を交換する。



「株式会社gigs、営業部の中川です」

「商品部の青木です。よろしくお願い致します」



中川と名乗る三十代くらいのスーツ姿の男性と、青木と名乗る私と同じ歳くらいのロングヘアの女性。ふたりはこの辺りの人らしく関西弁のなまりで挨拶を交わした。