「だって、商品企画なら私よりもっと出来る人がいるだろうし……なんて私なのかな、って」
「あー、まぁ普通の商品企画ならそうするけどな」
「へ?」
そのうちに新幹線は走り出し、窓の外の景色がゆっくりと動き出す。
「今回コラボ商品作る『gigs』ってブランド、どんなブランドか知ってるか?」
「えっ、えーと……確か若者に人気の洋服のブランドですよね?クマのキャラクターが有名で、色柄もいかにも大阪って感じで派手で……」
「そう。だから今回の企画も、向こうの持ってるデザインをうちの文具に合わせて若者向けに売り出そうってやつだ」
『gigs』は高校生や大学生に人気のブランド。ドットやボーダーをミックスした柄や赤、白、黄色などの派手な色が中心で、東京でも原宿を歩いているような子たちが着ているのをよく雑誌で見かける。
そのブランドとの企画に私が必要とは思えないんだけど……。
「若者っていうのは、本当に欲しいものにしか金を使わない。特にシャーペンやペンケースなんて一度買えば長い間持つし、似たような文具なんて色んなメーカーから出てる。そんな中で頭一つ抜けて売れるために必要なものは……分かるな?」
「えと……オリジナル性、ですかね」
「そうだ。この機能だから、このデザインだから買う。どちらかといえば学生だとデザイン重視だろうな。それ目当てで人気のブランドとコラボしても、その中で更に欲しくなるような色柄を選ばなきゃいけない。それを出来るのは俺でもなく、広瀬や他の社員でもなく、お前だと思ったからだ」
「私……」



