「さすが、混んでるな。予約取れただけでもラッキーだったな」
「そうですね……っと、座席ここです」
すぐに見つけた座席に、彼は私の手から荷物の入ったボストンバッグを奪うと座席の上へしまう。
そして自分の荷物もしまうと、私を窓際の席へ座らせ自分はすぐ隣へと座った。
と、隣の席……。
混んでいるのだから仕方ない。けど、ぴったりとくっついた座席の隣同士、となれば自然と肩や足が触れてしまうもので、その近さに思わずドキリとする。
「コーヒー、飲むか?」
「あっ、はい」
そんなことを気に留める様子もなく、彼は近くを通る車内販売に声をかけコーヒーを買うとカップを手渡した。
「すみません、お金……」
「いい。俺が出してやる。後で給料天引きな」
「えぇ!?」
「冗談だ」
そう財布を取り出そうとした私の手を引っ込めさせながら、彼が見せた小さな笑顔。
からかうような、子供のようなその表情にまた胸が音をたてる。
『まもなく、発車いたします』
ザワザワとにぎわい発車時刻を待つ新幹線の中で、コーヒーを一口飲み呟く。
「……あの、何で今回同行者が私なんですか?」
「あ?」
突然の問いに内海さんは同じくコーヒーを飲みながら私を見た。



