「ありがとう、ございます……似合いますか?」
「うん、すごく」
頬を赤く染め、ブレスレットのついた右腕を見せる私に広瀬先輩は迷いなく頷いた。
やっぱり好き。少し鈍い人だとは思うけど、その分素直で真っ直ぐで、躊躇うことなく伝えてくれる。
「……この天然タラシ野郎」
「へ?何が?」
そして無事買い物を終えた私たちは、アクセサリーショップを後にし建物の中を三人並んで歩いていた。
「さて、買い物も済んだことだし上のフロア行くぞ」
「上……って何かあるんですか?」
「ここの三階にあるでかい文具屋に行く。市場調査だ」
「えー……休日まで仕事の話ですか?」
今日彼が来たのはどうやらこれが目的だったらしく、嫌な顔をする私を気に留めることなく内海さんはスタスタと歩いていく。
「まぁ自分たちの商品が売り場にどう並んでいるか、日頃オフィスにこもりっきりの俺たちはあんまり目にする機会もないしね」
「そうですけど……」
「ついでだし」広瀬先輩に微笑まれてしまうと、断れるわけもなく、私は渋々後を追うように内海さんのうしろを歩いた。



