ビター・スウィート




「お待たせー」

「はっはい!!」



すると小さめの紙袋を手に早々と戻ってきた広瀬先輩に、私はハッと我に返り内海さんから体を離した。



「どうかした?」

「いえ何も!無事にプレゼント買えてよかったですね!!」

「うん、あと……ちー、手出して」

「へ?手ですか?」



どうしていきなり?

そう思いながらも言われるがまま右手を差し出すと、広瀬先輩は手にしていた何かをチャリ、と私の手首につけた。

見ればそれは、小さな金色の留め具がキラリと光る、パールと淡いピンク、ラベンダー色の三つの石で彩られた細いブレスレット。



「え?これ……」

「さっきレジのところで見つけてさ、ちーに似合うと思って」

「で、でも……」

「今日付き合ってくれたお礼。貰ってくれる?」



そんな、妹さんのための買い物に来たのに私まで……。そう思うけれど、にこ、と微笑んで私の顔を覗き込む彼に、そんな言葉は言えるわけもない。



『似合うと思って』



……どうしよう、すごく嬉しい。

その言葉と、自然な優しさがまた心を鳴らすよ。