「わかってますよ、自分の立ち位置くらい……女として見られてなんてないことくらいっ……」

「なら……」

「けどわかんないじゃないですかー!いつか女として見て貰えるかもしれない……いつか、何がきっかけで変わるかなんてわからない!だから私は、それを信じて期待してるんですよっ……」



いつか、変わるかもしれない。彼が私を女として意識してくれるかもしれない。私が知らないだけで、全く意識していないわけじゃないのかもしれない。



そう信じて、期待している。

『諦めろ』と言われても、『無駄』だと笑われても、気持ちをなくすなんて出来ないんだから。

でも、そんな自分がアホみたいで、バカだと言われても仕方ないことも分かってる。分かっていても、悔しくて。



「うっ、ぐす……うぅ、」

「……あっそ。勝手にしろ」

「しますよ!言われなくたって!」



顔をぐしゃぐしゃにして泣き続ける私に、内海さんはポケットから取り出したグレーのチェック柄のハンカチを手渡した。



「ほら、顔拭け」

「うっ、ぐす……いりません…そんな、内海さんみたいな悪魔のハンカチなんて……」

「これ、広瀬から借りたままのハンカチだけど」

「……借ります」

「お前なぁ……」



広瀬先輩のものならと渋々借りたハンカチでこぼれる涙を拭う。すると内海さんは、呆れたようにため息をついた。