ビター・スウィート




翌日、商品部のフロアには朝からひたすら、カタカタカタカタ……と止まることなくパソコンのキーボードを打つ音が響く。

眉間にシワを寄せ、無言のままひたすら仕事を片付ける。そんな私を隣のデスクの菜穂ちゃんは、苦笑いで見た。



「ちー先輩どうしたんですかぁ?昨日と全然テンション違いますけどぉ」

「別に!なんでもない!」



なんでもない。なにもない。ただ私は真剣に仕事に取り組んでいるだけであって……。

そう思いながらも、頭に浮かぶのは昨日の内海さんの笑顔とお似合いの女の子の姿。

まただ。心の奥がモヤッとする。イライラしてきて、痛い気もして……あーもう!仕事!仕事に専念する!



「おい永井、いるか?」



すると、ガチャッと開けられた部屋のドアから顔を覗かせたのは、相変わらず目つきの悪い顔をした内海さん。

昨日の笑顔とは真逆の鋭い目をしている彼は、ファイルを二冊ほど手にこちらへと近づいて来る。



「これ、明日の会議の資料な。ちゃんと確認しておけよ」

「……そこ置いておいてください」

「ん?なんかお前、今日機嫌悪くないか?」



目も合わせることなく、「ふんっ」と顔を背ける私に、内海さんは当然意味がわからないと言った様子で首をかしげた。