「でも内海さんと広瀬さんって仲良いですよねぇ」
「菜穂ちゃんもそう思う!?だよね、なんであの二人が仲良いんだろうね!?」
「悪魔と称される内海さんも広瀬さんの前では笑ってるのも見るしぃ、もしかしてあの二人って、ホ……」
「ちっ違う!それは絶対違うよ!?」
生まれかけたあらぬ誤解に、そんなことないと一度強く否定した。
けれど、考えてみればそう。広瀬先輩と内海さん、どちらも女性関係に関しての噂は聞かない。いや、私が知らないだけかもしれないけれど。
二人はよく一緒にいるし、どことなく楽しそうだし……はっ!もしや内海さんは広瀬先輩を好きで、だから私に諦めろってこと!?それならあれだけ言うのも合点がいく。
けど、そうと決まれば女である私の方が断然有利!勝機は私にあり!
「ふふ、ふふふ……ざまみろ悪魔……」
「ちーせんぱぁい、顔ヤバいです。悪い顔してますぅ」
「おい、何喋ってるんだ」
話していると突然後ろから響いた声は、先程も聞いた低い声。その声からあの顔を想像し『げっ』と思った瞬間、目の前の私のデスクにはドカッと分厚い書類が置かれた
「……あの、これは」
「書類だ」
「それは分かりますけど……」
山のような書類から目の前に立つ背の高い姿へ視線を向けると、黒いスーツの内海さんは腕を組み先程同様鋭い目でこちらを見る。
「他の部署から回ってきた商品レポートだ。明日までにまとめておけ」
「え!?さっき書類出したばっかりなのに!?」
「喋ってる暇があるくらいだ、余裕だよなぁ?あぁ?」
「うっ……」
『出来ないとは言わせない』、とでも言うように見下ろす目つきはやっぱり威圧的で恐ろしい。当然不満を言えるわけもなく、私は渋々頷くと書類をペラペラとめくって中を軽く確認した。



