ビター・スウィート




「ピアス?」

「はい、そこに落ちてて……広瀬先輩って、ピアス開いてましたっけ?」

「あー……昔開けてたらしい。今は塞がってるかもしれないけどな」

「へ?そうなんですか?」



広瀬先輩が、ピアス……なんて知らなかったなぁ。意外。

内海さんは私の手からピアスを奪うと、その場にポイッと適当に投げ捨てる。



「って、あぁ!なにするんですか!」

「どうせ今は使ってないんだからいらないだろ。んなことより、さっさと戻るぞ」

「い、いいんですかねぇ……」

「さぁな、怒られても面倒だから黙っておけよ」



人のピアス投げ捨てておいて黙っておけって……本当、嫌な性格。

でも下手に言ってまた怒られても嫌だし、と私は渋々納得し内海さんとリビングに戻った。



「そういや永井、お前手土産持ってきてたな。あれ、なんだ?」

「え?あー……あれは、」



白々しく話題を逸らす内海さんの一言に、私は自分が持ってきていた手土産の存在を思い出す。

茶色い紙袋から取り出したのは、小さめのウィスキーのボトル。



「あれ、ウィスキーだ。ちーわざわざ買ってきてくれたの?」

「広瀬先輩お酒好きじゃないですか、だからと思って」



そう。広瀬先輩は優しい顔に似合わず、超酒好き。そして強い。酔っ払いもせず、ウィスキーだろうと日本酒だろうとグビグビ飲めてしまう。

そんな彼を想って、くる途中で少し値の張るお酒を買ってきたのだった。