「ほら、永井はそこに座れ。広瀬、お前は料理運べ」
「あっ、私も手伝います!」
「いいのいいの、ちーは座ってて。今日はちーをもてなす会だから」
荷物を部屋の隅に置き一緒にキッチンに立とうとするものの、広瀬先輩に肩を掴まれ、目の前のリビングの白いテーブルの前に座らされてしまう。
「今回の商品、担当した俺も内海も上司からも本当によく褒められてさ。内海なんてこれがきっかけで昇進の話も出たんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「だから今日のこの食事会も、内海の提案で『たまには永井を労ってやるか』って」
広瀬先輩はコソコソと話すものの、何を言われているのかわかっているのであろう内海さんはキッチンで料理を盛り付けながらふんと笑う。
「ま、これからもせいぜい俺の昇進のために役に立て」
「なんですかその言い方!」
ひどい言い方!
そう思う気持ちもあるけれど……でも、内海さんの提案だなんて意外だ。
確かに、私が伝えたアドバイスや意見を商品に活かし売れたとしても、表向きには『商品部の内海と広瀬の担当』としか受け止められない。
当たり前だけど、私の名前なんて一切出てこない。
そこで『まぁ仕方ないこと』と割り切るんじゃなくて、不器用な言い方をしながらもこうして労いの気持ちを伝えてくれる。その優しさがやっぱり嬉しい。



