そして季節は進み、いつの間にかクリスマス近くになっていた。


私達の学校では、今年最後のイベントであるクリスマス会の練習に余念がなかった。


卒業生全員の進路が無事に決まることを願うためでもあった。

そして、最後の学期を有意義に過ごして貰うために追い出し会も兼ねていた。


卒業試験。
就職活動。
受験勉強。

まだ進路の決まっていない三年生にとっては、地獄の日々が待ち受けているのだった。


だからせめて、クリスマス会は派手に。
ついでに、全員を卒業させて追い出してやるぞ。

そう思って各クラスここぞとばかりの演出をする。
それが通年のパターンだった。




 私のクラスの出し物はコントのシンデレラ。

誰が主役の座を射止めるのか?

例によってアミダクジで全てが決まるのだった。




 その追い出し会の前日は珍しくホワイトクリスマスイブとなった。

夕方あたりから降り出した雪に、ロマンチックになった私が其処にいた。


実は今日。
この地域の初めての試み。

《キャンドルツリーイベント》
があるのだ。


私は母と行きたくて、父の帰りを待った。




 でも父はやっぱり帰って来なかった。

こんな日もキチンとパチンコで遊んで来る。


家庭サービスなんて二の次の身勝手な男の生き様。

水野先生だけにはこんな風になって貰いたくないと思った。