そんな時、家に電話があった。

それは、熊谷駅で声を掛けたSL好きのおばさんだった。


おばさんは車内で私が指摘した部分を下車してすぐに警察に持ち込んだ。


『もしかしたら長瀞で、荒川で人が殺されたかも知れません!!』

って叫びながら……




 提出されたマイクロSDソフトを、警察はおばさんの許可を得てからすぐにコピーした。

そして、映像分析が行われたのだ。




 その結果。
其処には、少年が川の中で押し付けられて殺されかけた姿が写し出されていたのだそうだ。


その少年はその後で、母親を殺してしまったのだ。


苦しまぎれに川の中で拾った石でその人の後頭部を叩いたのだ。


叩いたのは一度だけだった。
だけど当たり処が悪かったのか、その人は川の中に顔をつけて亡くなったそうだ。




 おばさんは私達から離れて席に戻った後で映像をじっと見ていた。
そして気付いたのだそうだ。


その映像の中身に……


私の指摘は殺人罪で逮捕された少年を救ったのだ。


(良かった)
何故かそう思った。




 私は喜んで母に報告していた。
傍で父が聞いているとも知らずに……


「テメエ等は、俺に隠れてコソコソと何を遣っているんだ!!」

父の怒りが爆発した。