研修と講話。
教育実習生の一週間はここから始まる。
実際の授業参加はその後だった。

私は其処に期待した。

実習は一科目、国語のはずだった。


来週と再来週。
まだ二週間もある。
そう思っていた。


だって一学期に来た女性の先生は、物凄く長い期間居たように思えたからだった。

だって余り好きなタイプじゃなかったから……

ま、こっちの気持ちの方が大きかったからかな?


(早く終わりになーれー)

ってみんなでおまじないした。
大先輩だっけどね。




 水野先生に対する噂は良い物だけでは無かった。

登校初日に一年生とベタベタ……


(えっー!? それって私!? やべー、きっと昇降口でのやり取りを見られたんだ)


三年生とラブラブ……


(えっー!? そっちは何なんだ!?)


たった一週間で、多方面に尾鰭が付く。


そうまだ出逢って一週間だった。
でも確実にハートは鷲掴みされていた。


苦しいよ……
悲しいよ……

出逢って間もないのに、こんなに切ない。

だって水野先生は三週間だと言ったんだ。


それを考えると……
物凄く短く思えてきた。

私の心の中で、何かが燃え始めていた。




 私は気になった。
とりわけ……
ラブラブだと言う先輩が。


彼女研究が始まった。

名前は清水早智子。

父親は学校の先生らしかった。


(えっ、清水!?)

瞬間的にバレーシューズを間違えた清水さんのことが浮かんだ。


(でも、まさか……)
それに此処は清水って名字が多かったんだ。


昔からの大地主で、区画整理された保留地公募された土地が相続税の物納だと聞いたことはあった。

清水家は名門の家柄だったのだ。




 水野先生は……
何時も彼女としゃべっていた。

私の入り込む隙間なんてあるはずがない。


それより、私には大問題がある。


私の父親は誰かと言う……


そんな状態で、水野先生を愛せない。
愛してはいけない。


巻き込んではいけない。


ま、先生にもそんな気持ちないと思うけど。