『この玩具何。処から持って来たの!?』
お友達のお母さんが怒鳴っていた。

私は怖くなって、自分の玩具を隠していた。


何故そうしたのかは解らない。
ただ何となく怖かったのだ。


おばさんは母に事情を聞くために詰め寄った。

でも母が知る訳がない。

私の手に玩具も無いと知ると、おばさんはお友達に手をあげようとした。


私は思い余って、お友達を庇った。




 仕方なく隠した玩具を持って来る。

私のおどおどした態度は、おばさんの目を輝かせていた。


してやったりと言いたそうな顔をして、おばさんは私を見ていた。


『見た。悪いのはこの子よ。でも私は家の子が許せない』

おばさんはそう言うと、お友達を連れて家に戻って行った。




 そして私には万引き犯と言うレッテルが貼られた。


『申し訳ありません。以後気をつけます』
母はコンビニに行ってお金を払った。
本当の値段は一つ三百九十八円だった。
その二つ分を……

その頃母はマイホームの資金作りのために、節約に節約を重ねていた。

だから朝玩具を買わなかったのだ。
それなのに私が玩具を持って帰ったばっかりに……

母にとって痛い出費となったのだった。


おばさんは、その警察に行くと言う。
お店の物を持ち帰ったのは事実だから、正直に話そうと思うと言った。


『正義感に溢れた人だね』
母はそう言った。