伯母が泣いている。
優しい伯母の心に触れ私も泣き出していた。
プリン事件。
これは、母から直接聞いた話ではない。
三面鏡の前で泣きながら自分を慰めていた時に漏れてきた言葉で勝手に想像したものだ。
でもさっきの叔母の話で確信に変わった。
母が中学一年の時だった。
叔母は祖母と買い物に行った折、プリンを作ってくれと駄々をこねたようだ。
祖母には叔母には逆らえない理由があって、プリンの素を買ってきて作ることになった。
当然祖母は家族分作った。
でも叔母は母に意地悪をした。
『アンタの分なんかあるはずないでしょう』
そう言って、食べたそうに見ていた母をもて遊んだのだった。
当然母は食べられなかった。
そうしておいて、祖父に泣き付いたのだ。
『プリンなんか食べたくもない』
と言っていると。
そして……
祖父の母に対する執拗な暴力が始まったのだった。
『このー、ひねくれ者。馬鹿女』
それは暫く続いた。
それを、叔母は笑いながら見ていたのだった。
「誰? 其処に誰かいるの?」
伯母がドアを開けた。
「綾ちゃん」
伯母は戸惑ったように言った。
叔母は俯いたまま顔を背けていた。
母の哀しみは、このプリンから始まったのではないかと私は思った。
優しい伯母の心に触れ私も泣き出していた。
プリン事件。
これは、母から直接聞いた話ではない。
三面鏡の前で泣きながら自分を慰めていた時に漏れてきた言葉で勝手に想像したものだ。
でもさっきの叔母の話で確信に変わった。
母が中学一年の時だった。
叔母は祖母と買い物に行った折、プリンを作ってくれと駄々をこねたようだ。
祖母には叔母には逆らえない理由があって、プリンの素を買ってきて作ることになった。
当然祖母は家族分作った。
でも叔母は母に意地悪をした。
『アンタの分なんかあるはずないでしょう』
そう言って、食べたそうに見ていた母をもて遊んだのだった。
当然母は食べられなかった。
そうしておいて、祖父に泣き付いたのだ。
『プリンなんか食べたくもない』
と言っていると。
そして……
祖父の母に対する執拗な暴力が始まったのだった。
『このー、ひねくれ者。馬鹿女』
それは暫く続いた。
それを、叔母は笑いながら見ていたのだった。
「誰? 其処に誰かいるの?」
伯母がドアを開けた。
「綾ちゃん」
伯母は戸惑ったように言った。
叔母は俯いたまま顔を背けていた。
母の哀しみは、このプリンから始まったのではないかと私は思った。


