アンケート&質問コーナーが始まった。
司会者のお姉さんは、母の斜め前にいた。母はチラチラお姉さんの手元を見ていた。
「次私みたい」
母は私に耳打ちした。
「これが最後の質問になります。佐々木恵さん、どちらに居られますか?」
お姉さんはキョロキョロいて探している。母は聞かれる前から手を挙げていた。
でもお姉さんは全然気付かない。
「さっきからアンタの傍で手を挙げてるよ」
たまりかねて大が言う。
お姉さんはハッとして、母に目をやった。
「失礼しました。灯台元暗しでした。えーと。『幻さんの曲って最高! メロディーはどのように作られるのですか?』」
「OH! ありがとう!」
幻はまずガッツポーズで母に応えた。
「メロディーですか? 基本的にはリラックスした時に浮かびますね。今はいいモバイルがありますので以前より楽してます」
真面目に答える幻。
目の前にいるロックグループは、チャラチャラした人達ではないようだった。
見た目はそう見えていたけどね。
改めて母を見た。
母の瞳は、ライトを浴びて輝いていた。
「お母さん良かったね」
そう言いながらそっと手を掴んだ。
スクランブル交差点で、母の手を握った時のことが脳裏に浮かんだ。
だから私はもう一度言っていた。
「もっと楽しもうよお母さん」
って――。
握手会が始まった。
母の番になる。
幻は満面な笑顔を母に向けて、心を込めて握手してくれた。
母はまんざらでもなさそうにニコニコしていた。
「次回のイベントは渋谷です」
お姉さんはそう言いながら母にチラシを渡した。
母の目が又輝き出した。
「もしかしたら行きたいと思ってる?」
私の質問に母は頷いた。
司会者のお姉さんは、母の斜め前にいた。母はチラチラお姉さんの手元を見ていた。
「次私みたい」
母は私に耳打ちした。
「これが最後の質問になります。佐々木恵さん、どちらに居られますか?」
お姉さんはキョロキョロいて探している。母は聞かれる前から手を挙げていた。
でもお姉さんは全然気付かない。
「さっきからアンタの傍で手を挙げてるよ」
たまりかねて大が言う。
お姉さんはハッとして、母に目をやった。
「失礼しました。灯台元暗しでした。えーと。『幻さんの曲って最高! メロディーはどのように作られるのですか?』」
「OH! ありがとう!」
幻はまずガッツポーズで母に応えた。
「メロディーですか? 基本的にはリラックスした時に浮かびますね。今はいいモバイルがありますので以前より楽してます」
真面目に答える幻。
目の前にいるロックグループは、チャラチャラした人達ではないようだった。
見た目はそう見えていたけどね。
改めて母を見た。
母の瞳は、ライトを浴びて輝いていた。
「お母さん良かったね」
そう言いながらそっと手を掴んだ。
スクランブル交差点で、母の手を握った時のことが脳裏に浮かんだ。
だから私はもう一度言っていた。
「もっと楽しもうよお母さん」
って――。
握手会が始まった。
母の番になる。
幻は満面な笑顔を母に向けて、心を込めて握手してくれた。
母はまんざらでもなさそうにニコニコしていた。
「次回のイベントは渋谷です」
お姉さんはそう言いながら母にチラシを渡した。
母の目が又輝き出した。
「もしかしたら行きたいと思ってる?」
私の質問に母は頷いた。


