何時の間にか……
渋谷は様変わりしていた。

お目当てのCDショップが見つからないのだ。

ちょっと来ない間に、大手のチェーン店が相次いで閉店していたのだ。


「えー!? 結局私は何のために?」

母が突拍子のない声を上げる。


(私が言いたいよ……。何よ此処でそんな声出さなくても……)

シュンとした自分が情けなくなる。


私は一体、何をしに此処に来たのだろう?


公園通り。
文化通り。


歩き疲れた私は、センター街で途方に暮れていた。




 結局。
新宿の柏木公園近くの、ビジュアル系のCDショップに寄っていた。

其処位しか思い付かなかった。


でも母はもう一軒寄ると言い出した。


確かに以前と比べると少ない。


売れなくなっているのは確かだ。

携帯からのダウンロードが主流だから。


でもその携帯も、スマートフォンに移行している。

世の中の流れを感じた。


でも、私はその流れにも乗れてない。


『高校生に携帯なんかは要らない』

そう父に言われたから……

どんなに欲しくても持てないんだ。


アンケート調査の結果、学校内でただ一人だったらしい。


(そりゃ、そうだろう)

その数字を見て思った。

私の通っているのは女子高なのだ。

小中学生とは違い、遠距離通学中何が起こるか解らない。

心配だから持たせるのだ。

でも、その表を見せても父は動いてくれなかった。

だから諦めた。諦めざるを得なかったんだ。