「違うよお父さん! 私の方から好きだと言ったの」
産婦人科医は、わだかまりの取れた親子の会話を笑顔で聞いていた。
「私が『初恋かい?』って聞いたら娘さんが頷いて」
産婦人科医が助け舟を出してくれた。
「だから水野先生は悪くないの」
私は産婦人科医に目配せをしながら会釈した。
「佐々木の気持ちは嬉しかったけど、これからのことを考えると。だから暫く考えてみたのです。でもやはり……」
水野先生は深々と頭を下げた。
「お父さん、お母さん。佐々木を私にください。結婚させてください。これから先、どうなるのか見当はつきませんが、どうかお願い致します」
それはプロポーズだった。
紛れもない、私に対するる愛の形だった。
水野先生は本気で言っていた。
でも私は戸惑った。
嬉しくて嬉しくて仕方ないのに、水野先生の言った源氏が引っかかっていた。
だって伯母さんが言っていたんだもん。
私達は平家の一門だと。
平清盛の子供の隠し子が先祖かも知れないと。
だから……
源氏側の水野先生とは、ロミオとジュリエットかも知れないんだ。
今時流行んないと解っている。
でも、怖い。
それを口実に……
又反対されるのではないかと思っていた。
産婦人科医は、わだかまりの取れた親子の会話を笑顔で聞いていた。
「私が『初恋かい?』って聞いたら娘さんが頷いて」
産婦人科医が助け舟を出してくれた。
「だから水野先生は悪くないの」
私は産婦人科医に目配せをしながら会釈した。
「佐々木の気持ちは嬉しかったけど、これからのことを考えると。だから暫く考えてみたのです。でもやはり……」
水野先生は深々と頭を下げた。
「お父さん、お母さん。佐々木を私にください。結婚させてください。これから先、どうなるのか見当はつきませんが、どうかお願い致します」
それはプロポーズだった。
紛れもない、私に対するる愛の形だった。
水野先生は本気で言っていた。
でも私は戸惑った。
嬉しくて嬉しくて仕方ないのに、水野先生の言った源氏が引っかかっていた。
だって伯母さんが言っていたんだもん。
私達は平家の一門だと。
平清盛の子供の隠し子が先祖かも知れないと。
だから……
源氏側の水野先生とは、ロミオとジュリエットかも知れないんだ。
今時流行んないと解っている。
でも、怖い。
それを口実に……
又反対されるのではないかと思っていた。


