「お母さんも相当な美人だったけど、君も綺麗だな。だからあの笑顔が又見たいんだ」

私は澁谷のことを言っていると思った。


「俺が君を守るから、だからもう悩まないで」
水野先生は泣きながら言った。


「ごめん。何言ってるんだろ俺」

私はそんな水野先生の優しさに触れて、心を乱していた。




 水野先生と私の連絡は、普通電話のベル。


三回コールなら清水さんの家に伝言がある。


だった。
でも……
私は毎日清水の家に連絡するようになっていた。

だって清水さんとのたわいもないやり取りが私の心を癒やしてくれたから。


私の恋を清水さんは知っている。
だから応援してくれていると私は思っている。

だから、打ち明けたのだ。

水野先生に言われたことを。

もしかしたら片思いではないのかも知れないと。


本当は両思いだったと言いたかった。

でもまだ……
それは言えなかった。




 その結果……

私と水野先生の恋が問題になった。

それは、水野先生を悩ませる深い原因になった。


年端もいかないような若い子と付き合ってどうする。
と親戚がうるさくなったためだった。


私と清水さんの会話から、二人が付き合っているらしいと察したからだった。


偶々私が電話を掛けた時、親戚を集めた家族会議中だったのだ。


それは水野先生のおじい様の事と、離島での生活を話し合うためだったようだ。


これから水野先生は離島へ行く。

そう……
それはもう其処では決まった話だったのだ。


まだ高校一年生の私を連れてはいけないと、親戚連中は思っていたのだ。


その島には高校が無かったから……