アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】

 気まずい雰囲気だった。

私は出掛ける前にクリスマスケーキを食べてしまっていた。
父の傍は……
まるで針の筵。

私は父との隔たりを感じながら、其処に居るしかなかった。


「クリスマスだから早く帰ってやったんだ」

父は私を睨み付けながら言っていた。


私は居たたまれなくなり、その場から逃げ出し自分の部屋に引き籠もった。

母が困ることも承知だった。
でも、どうして彼処に居たくなかったのだ。




 私は泣きながらベッドに居た。


小さい時は、サンタクロースを待っていた。

でも、私に来たことはなかった。

クリスマスプレゼントは母からの手渡しだったから。


(――サンタさん。もしも私の願い事が一つ叶えられるのだったら……水野先生に会いたい。会いたいよー!!)

本当は声の限りに泣き叫びたい。


母の真似をして鏡を見ると、涙で顔がグシャグシャになった自分が写る。


この後ろに水野先生がいたら……
私は遠い水野先生の面影を追い掛けては、会えない現実を恨んでいた。




 何故父は私に酷い仕打ちばかりするの?
被害妄想だと言われてしまえば見も蓋もない。

私を嫌う元因はやはりあのことなんだろうか?