「神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与える。…か。」

『…シェイクスピアですか?』

「うわ、びっくりした、本読んでて気づかんかったわ!」

『すいません。』

「こちらこそ~、お茶淹れるわ、紅茶でいい?」

『あ、ありがとうございます。』

「いえいえ~」




なんて言いながら、紅茶の準備をしてくれているのが、探偵部部長にして唯一の三年生、

黒城 月(こくじょうつき)さん。

才色兼備ということわざがぴったりで、おまけに気の利いたことをさらっとやってのける彼女、そんな先輩に欠点だなんて、ぼくには思いつかない。

でも、もし、部長が僕に見せている面が全てだというのなら、シェイクスピアの理論では部長は人間ではなくなってしまう。

それは少し困るかもしれない。