「いや、でも、お金」
「サービスだ。好意は素直に受け取れ」



声を重ねて言ってきたから
有難く頂戴することにした。



「ありがとう、ございます…」



山盛りのチーズジェラート。
なんでこのひとはこんなたくさんある
種類の中から俺の大好物を選べたんだ。
驚きつつ一口食べてみる。



「うっま……」



感動モノのおいしさに思わず声が出た。
自然と笑みもこぼれてくる。
ダル男を見ると特に興味なさそうに
こっちを見てきた。



「気分が変わったならいい。
あんたはわかりやすすぎだ。
せめてそうやって
幸せそうに笑ってたほうが
可愛いんじゃないの」



それだけ言ってまた本に視線を戻した。
俺はというと、一瞬熱でジェラートを
溶かしてしまったのではないかと
慌てた。



不覚にもダル男の言葉に
照れてしまったのだ。