猫から顔を上げて
最後に見えた景色は青い空、白い雲。



雲ひとつない青空よりも
俺は真っ白な雲が幾つも浮かんでいる
今日のような空がすきだ。



走馬灯なんてものは俺にはなくて
目に映る空の感想を胸に抱いただけ。



目の前が真っ白になるくらいの
強く明るい光。
それを真正面から受けた瞬間
俺の意識は吹っ飛んだ。



だけどその一瞬前に
あの猫が腕からするりと抜けて
あかりの家の方に駆けて行った。



なんだよ。
動けるんじゃねーか。



くそっと舌打ちしたけれど
とりあえず死なずに
あかりの元へ戻ってくれるなら
よかった。