パーーーーーッ



今でも大きな電車の音が頭に響く。
滑車と線路が擦れ合うあの音。
気づいたら俺は線路のど真ん中にいた。



猫。



あかりが可愛いと言っていた猫。
可哀想だと拾ってきた猫。
出かけ先で通りかかった線路で
あいつが動かなかったから
俺が飛び込んだんだ。



迫り来る音と陰なんてなんのその
猫は俺の腕の中で気持ちよさそうに
喉を鳴らした。