少しずつ、少しずつ元に戻れば良い。
ただの気の迷いだったのだと
笑える日が来れば良い。
だけどやっぱり郁也がすきだから
大切な弟だから
俺は気持ちは秘めたまま
最高の兄として出来ることをしよう。



そう思って郁也のお願いを了承した。
経営経験は自身の勉強にもなるだろうし。
金銭面も知り合いのツテや両親の協力で
悩むことはほとんどなかった。



それに、この仕事をしていると
たくさんの出会いもある。
閉鎖的な俺に刺激を与えてくれる
たくさんのお客さんたち。
中でも決して本人には言わないけれど
今目の前にいるこの少女は特別だ。
俺の中の何かを少しずつだけれど
変えてくれている。
困っているなら力になりたい。
それが奇妙な生活を送る俺の
唯一の正しい時間な気がするから。