「痛っ…」



あおいは普段部屋を綺麗にしているから
床に何かがあるなんて珍しい。
一体何かしら。



「ああ」



それを見て思わず私は固まった。
やだ、落としちゃうなんて気をつけなきゃ。
拾う前に無意識に手を左耳に伸ばす。
私の耳に、ちゃんとそれはあった。



…え?
私のじゃない?
けれど全く同じもの?
それがどうしてあおいの部屋に?
私は十年以上も前に手に入れたというのに?



全身の血がざわつくのを感じながら
私はまた見てしまった。
見てはいけないものを。
勉強道具の隣に置いてある箱。
その中がちらりと見えた。



『深海魚展200x/08/10-09/05』



あり得ない。
なんでこれがここに。
だってこれはこれは
「これは銀河の」



思わず声が出てしまった。
あおいの目が、少しずつ開く。