「……それで、性的なことへの嫌悪感が強すぎて、自慰も出来ないし、そもそも何をやっても勃ちません」
「裕でも勃たないの?」
「はい、全く」
「え? 清水センセってEDなんですか?」
「そうだよ。言わなかったっけ?」
「ただ反吐が出るほど嫌いなだけだと思ってました」
僕みたいなものでも発作で勃起するのに、それもないのかと驚いた。
「ずいぶんツラい思いをしてきたのに……良く医者なんかに成れたと思うよ。精神病んでまともに暮らせなくなる人も多いのに、進学校行って医大に合格して医師免許も取れたわけだから。よっぽど成績が良かったんだね」
「大学の途中で裕くんに逢えたので。それまでは屍体を解剖できるから医大に行っただけでした。写真が好きだから放射線科に行きましたけど、免許が取れたら先輩みたいに産業医にでもなって、生き死にと関係なくまあまあ稼げて、趣味に没頭出来ればそれで良いと思って。でも、動画の中の裕くんと出逢って、裕くんを探すという人生の目的が出来たので、もっと稼ごうって決めたので」
「それでもセックスが出来ないのは淋しくないの?」
「セックスなんかしなくてもすごく満たされてるんですよ。裕くんとこうやって会えて、話が出来て、一緒にメモリアルパークを散歩しながら屍体の話をして」
「裕も楽しいって言ってたよね」
「楽しいですよ。だって屍体の話を同じ知識量と熱量で話せるんですから」
「裕が楽しいなんて言うの初めて聞いたよ」
「ほっほんとうですか!? それは嬉しいです! 裕くん楽しんでくれてるんだね。良かった……嬉しい……良かった。嬉しいな…良かった……」
清水センセが泣き出すかと思うくらいの勢いで感動しているので、とりあえず僕は水を指した。
「まぁ、お互いの美学は結構違いますけど。でも屍体の話を延々と出来ることに変わりはないので」
「へぇ! 柔軟だねぇ。裕もは清水さんのことどう思ってるの?」
「それはいつも通りわかりませんが、恩人ですから、大事な人です。常に感謝してます」
「ほう、大事な人ね。裕の最大の愛情表現ってやつだ。そうしたらさ、もし清水さんが仮に事故にでも遭って首から下が麻痺しちゃって、『もう裕くんのこと殺してあげられなくなっちゃった』って事態になったら、それでも清水さんは大事な人?」
さあ、答えてみろ、とばかりのドヤ顔で寺岡さんは僕の返答を待っている。そんな答えはとっくに出ていた。
「裕でも勃たないの?」
「はい、全く」
「え? 清水センセってEDなんですか?」
「そうだよ。言わなかったっけ?」
「ただ反吐が出るほど嫌いなだけだと思ってました」
僕みたいなものでも発作で勃起するのに、それもないのかと驚いた。
「ずいぶんツラい思いをしてきたのに……良く医者なんかに成れたと思うよ。精神病んでまともに暮らせなくなる人も多いのに、進学校行って医大に合格して医師免許も取れたわけだから。よっぽど成績が良かったんだね」
「大学の途中で裕くんに逢えたので。それまでは屍体を解剖できるから医大に行っただけでした。写真が好きだから放射線科に行きましたけど、免許が取れたら先輩みたいに産業医にでもなって、生き死にと関係なくまあまあ稼げて、趣味に没頭出来ればそれで良いと思って。でも、動画の中の裕くんと出逢って、裕くんを探すという人生の目的が出来たので、もっと稼ごうって決めたので」
「それでもセックスが出来ないのは淋しくないの?」
「セックスなんかしなくてもすごく満たされてるんですよ。裕くんとこうやって会えて、話が出来て、一緒にメモリアルパークを散歩しながら屍体の話をして」
「裕も楽しいって言ってたよね」
「楽しいですよ。だって屍体の話を同じ知識量と熱量で話せるんですから」
「裕が楽しいなんて言うの初めて聞いたよ」
「ほっほんとうですか!? それは嬉しいです! 裕くん楽しんでくれてるんだね。良かった……嬉しい……良かった。嬉しいな…良かった……」
清水センセが泣き出すかと思うくらいの勢いで感動しているので、とりあえず僕は水を指した。
「まぁ、お互いの美学は結構違いますけど。でも屍体の話を延々と出来ることに変わりはないので」
「へぇ! 柔軟だねぇ。裕もは清水さんのことどう思ってるの?」
「それはいつも通りわかりませんが、恩人ですから、大事な人です。常に感謝してます」
「ほう、大事な人ね。裕の最大の愛情表現ってやつだ。そうしたらさ、もし清水さんが仮に事故にでも遭って首から下が麻痺しちゃって、『もう裕くんのこと殺してあげられなくなっちゃった』って事態になったら、それでも清水さんは大事な人?」
さあ、答えてみろ、とばかりのドヤ顔で寺岡さんは僕の返答を待っている。そんな答えはとっくに出ていた。



