「ギリギリだな」
「ええ」
「持ちこたえろって。寺岡先生から、岡本に伝言」
さすが寺岡さん、よくわかってる。
「わかりました」
「いまどこよ?」
「清水センセの家です」
「先生そこに居るの?」
「いえ、外で掛けてます。先生は疲れてソファで寝てます」
「あの人も頑張ったな。俺も釘を刺してあるし」
「そうですよね、刺して無いわけがない。だから僕のせいですごく疲れてます、仕事で疲労困憊な上に」
「お前と一緒に居れるから持ってるだけだと思うぜ」
「僕が頼るから、ですね。頼られると自分のことを棚に上げられる」
「まぁそんなもんだ。で? いつまでそこに居るの?」
「わかりません。仕事が始まるまでかな? でも、居たほうが良いのか、帰ったほうが良いのか、すでにわからなくなっちゃって」
「まぁ、居てやれよ。清水さん、淋しがるぞ。あとはお前次第だからな」
幸村さんは渋々清水センセの味方をした。
「そうですね。僕が耐えられれば」
「耐えろよ。俺は放火事件で忙しいから今日も明日も監視に行けねぇよ」
「もうしません。罪悪感で圧し潰されそうです」
「そうだぞ、圧し潰されて身動きできなきゃ良いんだ」
全くそのとおりだ。
「あれから色々あったんだぞ。あの三人のうち二人が同じ闇金から金借りてやがった。もう1人も多分そうだろうな。今、最終確認取ってるとこだけど」
「なんの話ですか」
「お前、言ってただろ! 放火は3人とも自作自演で火災保険が怪しいってよ」
「ああ、放火事件」
「岡本のコンサルは効くよなぁ!」
「知りませんよ。適当言っただけですから」
「適当上等、これで放火事件解決したら、お前の今回のチョンボと相殺にしてやる」
「相殺にするようなものじゃないでしょ!」
「ま、お前が生きてることが大事だ。とにかく教授先生の御教えを守って我慢しろ。我慢できなかったら……あ、そうだ、ペナルティな。首締め1回につき俺が1回犯す。しかも自殺画像無しな。腰が抜けて気失うまで犯す」
「それだけはやめて!」
あまりのペナルティに僕は思わず叫びそうになった。



