身体は確かに変わっていく。触られただけで痺れのような性感が勝手に僕の全身を覆う。埋め込まれた寄生虫が皮下にまではびこっていくとしか思えない。嫌だと叫びながら、それを切り捨てることを選べない自分の悪趣味な愚かさに失望する。

 答えはもう出ている。僕にとっては誰でもいいのだ。それを佳彦も小島さんもわかっている。わかっているのに違う答えをそれぞれ創りだそうとしている。違う答えのある未来を信じていると言ってもいい。佳彦と僕はギリギリまでその未来に肉薄した。肉薄して、そしてその反社会性におののいた。僕と佳彦の未来はこの社会の崩壊を示す。それは“許されざる者”という社会からの抹殺を意味する。殺人者と被害者という名前を付けられて。

 小島さんとの未来はなんだろう。答えはあるのだろうか? 水に写った影を掬おうとするように、僕達は互いの影にしか出会えない。僕達は自分の王国から一歩も足を踏み出す気はないのだ。だが、僕は力ずくで引き出される。そして今とは違う未来を創りだそうという小島さんの無茶な試行の中でもがいている。

 だけど…隆…今のままじゃ、隆は僕の自慰を手伝ってるだけなんだ。僕は隆の方を向いていない。隆に抱かれているように見えて、実はあの日も自分自身を抹殺した真っ赤な轢死体に抱かれていただけ。それはホントはもうわかってるんだよね。

 隆。