「あぁ…あぁ…! やだぁ! あぁ…! うぁぁ…!」
「腰回すなって。またすぐイッちまうだろが!」
「あぁん! 手ぇ離して! もダメ! ダメだって…またイッちゃう!」
「じゃあ、抜くか?」
「ダメぇ! ダメ! も…や…ぁあ!」
「なにがダメなんだよ!」

 そう幸村さんは僕をなじると、腰を掴んだままめちゃくちゃに内臓を奥まで掻き回した。僕はそのサディステックな激しさにのた打ち回りながら叫び続けた。だが、何を言っても幸村さんは許してはくれず、硬いままイクこともなく、それが続くとしまいに僕の全身がガクガクと揺れ出した。

「うわぁぁぁぁ!」

 射精しないのにイッてしまいそうになる。こんな感覚は初めてだった。すると幸村さんは唐突にその太いモノを抜いた。ズポッと音がして、性感に埋め尽くされていた内臓が一瞬で空虚になった。

「やだっ! やだ…いかないで……」

 いつだったかこんな感覚を味わったことがある。何を言ってるのか自分でもわからない。こんな感覚をいつ、どこで? 空虚で体中が震えてくる。ひとりでに声が漏れる。

「やだ…やだ……」
「どうした? どうして欲しい? また俺のが奥まで欲しいのか?」
「一緒に…一緒に…僕も連れてって…僕も…僕もぉ…!」
「イキたいのか?」
「生きたいんじゃない…死にたいんだ……僕も…ぼくもいっしょに…つれてってよぉぉぉ!」

 僕はいつの間にか腕を伸ばし、宙を指で掻いていた。なにかに縋るように。そこに何があるの? 何もない…なにか…なにかがあったのに…そこに……





 おとうさんははじめてぼくをだきしめてくれたんだよ

 それでね

 そのあと

 ぶらーんって

 あしがあったよ

 ぼくね

 とどかないんだよ

 ちいさかったから

 まだあるけなかったんだよ