僕を止めてください 【小説】





「エロいな。感じてるのか…終わったはずだろ」

 耳の中で吐息と囁きが吹き込まれる。ううと呻いた拍子に思わず幸村さんの指を噛んでいた。

「ああぁダメだ…また挿れたい…お前の中」

 あんなに出したのに、幸村さんの性器は最大に大きくなり、そして固く勃っていた。幸村さんは後ろから指を抜き、僕の性器自分の性器を擦り合わせてゆっくりと上下に腰を動かし、僕の耳のそばで荒い息をついた。そして僕の左手首を掴み、その傷跡に舌を這わせた。

「んあ…」

 なぜか指先まで痺れが走った。塞がれた口から声が漏れる。傷痕の神経がかすかに麻痺してるからだろうか? だがそれは神経の痺れではなかった。思わず指が反り返った。前にもあった…この左手首が疼いたことが…

「んんっ!」

 いきなり後ろの孔に太いものがズプとめり込んできた。いきなり急所に硬いそれが当たると思わず腰がビクンと跳ねた。少し引き抜かれ、確かめるような突き上げと共にまた腰が勝手に浮く。それどころか硬いものを受け入れながら臀部がうねってしまう。やめて、やめて、と何度も喉から絞り出す音は、口腔を塞ぐ幸村さんの指の間で無力化されて意味のない喘ぎ声にしか聞こえなかった。幸村さんはそんな心と裏腹な僕の反応を見て更に激しく急所だけを執拗に攻めてくる。いつしか下腹部だけでなく、全身に広がっている微熱。こんな感じも前にもあった…いつだったか…

 デジャヴのようないくつもの似通った感覚の記憶に脳をまさぐられながら、小刻みな絶え間ない攻めの動きに合わせてその律動的な性感が、僕を無理矢理高みに押し上げていった。たまにいきなり深いスラストが内臓をえぐり、その度に塞がれた僕の喉からくぐもった喘ぎ声が上がると、幸村さんのものは更に硬さを増した。そしてしばらくすると、僕の性器が握られ、口腔から指が抜かれた。そして間髪入れずに、また幸村さんの唇が僕の唇を塞ぎ、舌の根が切れそうなほどの力で舌を吸い上げた。

「んん…んぐ…んふっ!」

 容赦なく幸村さんの性器は僕の排泄孔を攻め続けた。舌の痛みの中で急に性感が全身を襲い、幸村さんの大きな手の中で僕のものは突如として暴発していた。出るものなど無いにも関わらず、感覚だけが突出したオーガズムに耐えられず半開きで戦慄いている僕の唇からツイと顔を挙げると、幸村さんは僕の殆ど透明で僅かな精液で濡れた指を舐め、その指の間から少し笑った。

「イッたな…俺もすぐイク」

 ぐったりとした脚をされるがままに抱え上げられて、深く激しいスラストが始まった。引き締まった腹筋が湾曲する様が、まるで交尾する雄のスズメバチのように見えた。そして予告通り、いくらももたない内に幸村さんも絶頂を迎えた。

「くっ…出るっ! んああっ!」

 イキながら幸村さんは僕の顔を両手で抱え唇を貪った。そして出し終わって微かな痙攣と共に、ぐったりと僕の身体に突っ伏した。硬い床の上では、それはとても重かった。