今まで会えなかった時間を取り戻すかのような幸村さんの激しい抽挿に、僕は抗うことも出来ずされるがままに叫んでいた。大きな手が僕の性器を握りこんでくると、もうこらえ切れずに自分から腰を回して喘いでいた。根本の傷が疼き、その感覚に震えた。本当にダメな身体だ…なにも取り返せない。自分自身さえ。

「あぁ…あぁ…あああ! イクっ…イクぅ!」

 絶頂はすぐにやって来た。痙攣だけするが精液は殆ど出なかった。3回も大量に出したんだから当たり前だろう。前立腺を中から刺激されて絞りだされただけ。それでも絶頂は来る。そしてまだそれは硬く立っていた。

「弛まねーな…何度イッても」
「もう…終わりた…い…」
「終わらせられるかどうかなんて…お前次第だろ? 岡本は淫乱だからな。何度イカせてもこうなったら…でも今日の俺も何度イッても終わんねーかもな。丁度いいわ」

 まだ出してない幸村さんはそう言いながらまたゆっくり動かし始めた。

「ん…ん…あ…あ…あぁ…」
「感じるだろ、まだ…あぁ…俺も早いかも」
「あっあっ、やだ…また…だめっ…ダメッ!」

 緩急をつけた動きが僕をまたしても追い詰めていく。僕の中を知っている。自在で正確な責めが僕を狂わせる。それを見て更に猛る幸村さんのそれ。だが、少しするともう幸村さんは顔をしかめて絶頂に向かって走っていた。

「ぐ…そんな締めんな…まだ早っ…あっあ」

 イクとも言わない内に幸村さんが急に果てた。幸村さんはイッても全く緩むこと無く、根本まで押し込まれたモノが僕の内臓をキツく抉り抜いていた。あまりの圧迫感に僕は声も出なくて、ハァハァと酸欠の魚みたいに口を開けて吐息で悶えるしかなかった。

「まだ…イクつもりじゃなかったのに…久しぶりで止まんね」

 そうしているうちに余韻の中で幸村さんはゆっくりと腰を動かし始めた。何度でもイケるって本当みたいだな…と、僕はその硬さと責め方の早急さに体力と気力を削られていった。終わりそうにない、幸村さんも…僕も。手首に指の痕がつくくらい握りしめられていた。不意打ちのように乳首に舌が触れる度に僕は声も出ないまま仰け反った。えぐられながら性器の先端を指先で潰されて下半身がはしたなくわななく。そしてそれからまた何度もイッた。もうまったく精液は出なかった。意識が朦朧とし始めていても、それでも幸村さんは緩まなくて、その硬さで内臓をかき回され続け、しまいに後ろ抱きに背中からも激しく追い詰められてイカされた。酸欠になり慌てて息を呑んだ瞬間に、自分の唾液が気管を冒し、ゲホゲホむせ返った。

「あっ…締めんな…でっ出る」

 ホールとは違う。人間というのは不思議だ。デジタルとアナログ…それくらい違う。人と道具が違っているのは何の成分なんだろう。生きてるから? では生きてなければ? それなら…死体は…?

 その途端、吊るされた縊死の死体が閉じた目の奥に浮かび上がった。

「ぐふっ…んあ…イク…イ…あ…」

 息が出来ない。僕が吊るされてるの…? 懐かしい感じ…意識が遠のいて…

「岡本…岡本!?」

 何年ぶりかに僕は失神していた。咳き込んだのが原因か、激しく仰け反ったのが原因か、何かの拍子に頸動脈洞が刺激されたんだろうと、幸村さんの声を聞きながら、僕は懐かしい闇に落ちていった。