なにも考えたくない。落胆と絶望がのしかかってきているから。それでも終わらせなくちゃ僕がこれを始めた意味がない。考えちゃダメだ…考えたら死にたくなるだけ。僕はその血のついた妖怪をもう一度股間に充てがった。歯の感触が先っぽに当たる。ジン…と下半身が痺れて、その性感に僕は耐え切れず喘いだ。
「いやだ…いやだ…いっ…くふぅ…」
終わっていないことを受け入れたくないのは変わらなかった。それでも無理矢理性器を押し込んでいった。ザラッとした舌が先端から根本までを一気に舐め上げると、いやだという声すら自分の淫らな息遣いに飲み込まれてしまっていた。股が自然に大きく開き、背中が床に着いて、そのまま仰向けになっていた。考えなければ考えないほど、思考を放棄すればするほど、性感は膨らんでいった。腰が独りでにくねり、身体が反りかえって性器をホールに深々と突き挿れていった。ジュボジュボと自分がさっき放った精液がホールの中でいやらしい音を立てる。溺れていく。何に溺れているのかは理解できなかった。性感? 自暴自棄? それとも終わらせたい執念?
わからない。でも頭の中がかき回されるようにシナプスが一斉に発火する。股間から痺れが電撃のように脊髄を遡上していく。ホールを掴んでいる手はこの3匹の獣に支配されているのかも知れない。僕が動かしているんじゃないみたいに、なにかに貪られて好き勝手いじくりまわされているみたいだった。
時折根本の剥けて出血している皮膚に歯が当たる。その刺痛は以前にも僕を襲ったような気がする。思い出す気もないのに、おぼろげな記憶を勝手に脳が遡って行く。なんのためかもわからない。遡る途上でもそのヒリッとした痛みが僕の感覚神経を襲う。その度にイキそうになる。
傷…傷…血…裂けて…閉じて…開いて……誰…?
「…るぞ」
どこかで声がする。
「…おい…岡本…?」
バタンとドアが閉まる音がした。
「おかも…と…あ?…どこだ?」
ベッドを見てる…黒いスーツ…大きな背中…その人はキッチンを振り向いた。
「あ…そこか。なにそれ」
ああ、傷を洗ったんだっけ…痛かったな、あれは…あれ…は…
振り向いた幸村さんの顔を見た途端、僕は傷の痛みの記憶を源まで上りきっていた。ナイフの傷、それを洗っている僕。
「あっ…あああっ!」
気が遠くなるほど全身が痺れたようになり、僕は耐え切れず叫んでいた。



