「動くと切れるよ。もう切れてるけど」
刃の下はうっすらひりつく感覚があった。頸を左右に振ったり回旋させると傷が深くなっていくのだろう。天井に視線が固定された。穂刈さんの顔が消えた。消えたと同時に僕の性器が握られた。
「くうっ!」
「動くなよ」
無理なことを言われて、背中が引きつった。頸が動くから反り返ることも出来ない。両手がシーツを握りしめる。そうしてないと性感に悶えて身体中がうねってしまう。
「ああ…あ……」
磔にされたまま、声だけが僕のはけ口となった。それでもじわじわと刃が食い込んでくる。
「君の血が欲しいそうだ。仕方ないな。殺しはしないよ」
「ど…どっちでも…いい…んあ…」
動けないまま握られた硬いものをいきなりしごかれて、僕の身体はビクンと震えた。ナイフの刃が少し深く皮膚を切った。
「スゴいな…これすると怖いから誰でもたいがいちっちゃくなるのに。君のは緩まないんだな。逆に大きくなる」
「そっ…それで…切り取って…欲しい…」
「なにを?」
「今…穂刈さんが…握ってるの…」
「マジで言ってるの?」
「切り取って…発作が無くなるなら…なくしてしまいたい」
「無理だよ。タマ抜かないと。でも鬱になるぞ。自殺したくなる」
「それは…困ります…」
「だったら楽しめ」
「いや…だ…ああっ!」
片脚を担がれた途端、僕の中に穂刈さんの硬くて太いものがゆっくり入ってきた。右のナイフが抜かれ、僕は磔から解放された。だがそのナイフの切っ先がそのまま鎖骨から胸の皮膚に薄く食い込んで、下に向かって赤い線をつけていった。
「んあぁ…」
「うん、いいね。よく締まる」
ナイフはなおも赤い線をつけ続けながら下腹部にまで到達した。中に挿れられたまま再び性器が握られ、ナイフが性器の根本に差し掛かった。会陰にチリっと刃の感触が走った。全身に痺れが走った。気が遠くなりそうだった。穂刈さんはゆっくりと僕の中をかき回していた。
「ああ…ああ…そのまま…そのまま刺して!」
「本当に切り取って欲しいのかい」
「あああっ! 突き刺して! そのまま切除してえええっ!」
それを聞いた穂刈さんはそのまま刃を茎の根本にグイッと押し当てた。刃が肉に食い込む感覚としごかれる感覚と、直腸の奥に硬いものが当たる感覚が同時に襲ってきた。その瞬間、僕は昇りつめていた。
「うわああっ! いくうううっ!!」
自分の腹の上や胸に勢い良く精液がほとばしった。腰がガクガク痙攣し続けて、いままで耐えてきたものを全部吐き出すかのような長い長い射精だった。
「マジでこれでイクのか…大したもんだな」
僕に打ち込んで腰を回しながら呆れたように穂刈さんは苦笑した。どれくらい切れたかわからず、ワナワナする両手で自分の性器の根本を弄ったが、ヌルっとした血の感触は無かった。思わず目の前に震える指をかざした。血の跡も何もなかった。
「はぁ…はぁ…切れて…ない…?」
「残念だが峰打ちだ。まだくっつけとけよ」
穂刈さんは素早く刃を裏返して峰で僕のものを圧迫してたようだった。感覚の鈍い僕はその動きがわからず、刃がそのまま肉に食い込んでいると思ったのだ。
「人に…されたの…初めてだった…自分でカッターとか…メスとかしか…なかった」
「メスでオナニーかよ」
「最近じゃ…それもイケない…」
「人にしてもらえってことさ。カレシでも作ってさ」
「言ってるでしょ…誰も近づける気はないって」
彼は黙った。挿したまま僕を裏返して、後ろから無言で激しく犯した。背中にナイフが食い込む。その度に僕は仰け反った。流れる血を彼は舌で舐めた。彼の唇は僕の血の味がした。



