仕方なくスエットに着替えて帰ってくると、自分のをしごいて悶えながらハァハァしてる佐伯陸が待っていた。
「パンツ…持ってっちゃ…ダメだってば」
「あれはダメ」
「じゃあ…手伝って下さい…嫌ならパンツ返して」
究極の二択とはこれのことだろう。天才だけあって、逃れられない選択肢を瞬時に作る才能がある。自分の精液でベタベタになったパンツをしゃぶられるのとオナニーを手伝うのとどちらを取るか…取り敢えず何を手伝うのか聞いてから決めようと思った。
「手伝うって…なにを?」
「キスして」
「は?」
「キスして下さい」
「それでも好きにならない自信あるの?」
「ありますから! パンツくれないなら早くキスして…」
泣きそうな声でねだると同時に仰け反って腰を浮かせた。掴んだ性器が見せつけるように突き出されて、佐伯陸は欲情しきった顔で僕を見ている。初めて僕は佐伯陸のペニスを間近で見た。露出狂なのだろうか。僕にはそういうことは到底わからないが。
「わかった。唇に?」
佐伯陸はウンウンと頷いた。半開きの口から唾液が溢れそうになっている。ど淫乱と言われてた意味がわかった。少しでも欲情すると止まらないんだろう。パンツよりキスを選んだのは正解なんだろうか。僕はソファの前に膝をついて屈みこみ、佐伯陸の唇に自分の唇を重ねた。
「ん…ん…ん…ん…」
僕の唇を貪るように佐伯陸の唇が吸い付いてきた。舌が僕の口の中に入ってくる。
「あはぁ…」
佐伯陸がよがり声を上げる。僕は何も感じないのに、それでもこの人を手伝っていることになるんだろうか。そんな疑問を感じながら、そのまましたいようにやってもらっていた。つい、と唇が離れたかと思うと、吐息のような声で僕に佐伯陸が言った。
「唾液が欲しい…裕さんの唾液流しこんで…」
「体液好きなの?」
「うん…おしっこだって飲める…唾液欲しい…」
「そんなに、出ないよ」
「じゃあ、舌出して」
僕が舌を出すと、それをキツく吸い上げていきなり噛んだ。噛まれる度にその刺激で、舌下の唾液腺からすぐに唾液が滲んできた。じゅる…と音を立てて佐伯陸の唇が僕の唾液を吸った。
「美味し…甘い…ザーメンも唾液も甘い…んんっ…うくっ…ん…ん…んんんっ!」
背中が弓なりになって、フワッとそれがソファに落ちた。唇を離して腹部を見ると、白濁した濃い精液が臍より上に飛び散っていた。



