「はい。ボクのパンツです。男物少ししか無いからこれしか貸せないけどいい?」
そう言って水色のビキニを僕に手渡した。サイズはそんなに変わらないだろう。この際、履ければなんでもいい。
「お風呂…この前入ったから分かりますよね。バスタオル出しとくから入ってください。裕さんのパンツ洗濯しておきますから」
「いいよ、持って帰る」
「ええ…やだ。パンツ…えい」
いきなり気合を入れると僕のズボンをパンツごと足首まで引きずり下ろした。
「自分で脱ぐよ!」
「いいえ、洗います。ボクのせいで出ちゃったんだし。はい。ボクもらった」
抵抗も虚しく手際よく下半身を靴下以外脱がされて、パンツを奪取された。脱がしたりするの慣れすぎてる。
「お風呂行ってらっしゃいませ」
「わ…わかった」
バスルームで下腹部を洗った。あれを全部見られたかと思うとかなりヘコむ。しかも舐められた。だんだんそっちの方に行く気がして心配になった。それでもぬるいシャワーで石鹸を落としていると、青木三穂の解剖以来鬱積してたものが洗われた感じがした。結局死ねなかったけれど、それはそれでいいという気になっていた。この結果オーライはどう見ても無謀過ぎて危険だが、もうそれは過ぎてしまった手前、ありがたく受け取るしかないと。
洗い終えて脱衣所に上がると、僕の服は消えていて、佐伯陸が出してくれたバスタオルとこの前泊まった時に着替えたスエットの上下が置いてあった。また今日も泊まれというのだろうか。僕は拭いたバスタオルを腰に巻いて、自分の着てきた服を着ようと、居間に戻った。
「今日は泊まらないから、僕の服返してくれないかな」
背もたれで見えないので、ソファを覗き込むと、なんとそこには下半身を露わにした佐伯陸が僕のパンツを口に咥えて性器を掴み、オナニーをしていた。
「ぱっパンツ咥えないでよ!」
「ダメぇ…もうすぐイクから待って…出したい…ザーメン好きなの…さっきから勃ちっぱなしで苦しぃ」
「ややややめやめ…」
僕は慌てて咥えられた自分のパンツをひったくった。トロンとした目つきで佐伯陸は僕に手を伸ばした。
「返してよぉ…もう…裕さんお風呂入ってる間に出せるって思ったのにぃ…裕さん早いよ…イクのもお風呂も」
「どんどんこっちのバイアスがキツくなっていってませんか!」
「先にイッたの裕さんでしょ…お願い…最後までさせてよ」
「もう…まいったなぁ…わかった…僕の服どこ?」
「泊まって」
「…またですか」
「ちゃんと話聞きたいんです…なんであんななったか」
それは無理もない要求だった。こんなイカれた人の前でちゃんと防御出来なかった僕も悪いのだった。弱みが恨めしい。僕は黙って脱衣所に戻った。



