「中性的なんだって、岡本さん…ほんと、ボク、こんなにときめかないの久しぶりかも」
「それはなにより」
「これはいいお知らせです。困ってるから、気が楽になるように。そして残念なお知らせもあります」
「なにそれ」
「気持ちいい…岡本さん。静かで気持ちいいね…寝ちゃいそう…このまま寝てもいい?」
「ダメでしょ。僕はそろそろ帰るよ」
「ええぇ…あの…できたら…一緒に寝てくれませんか? いつもよく寝られないんです。でもこうしてると寝られそうで…1日くらい熟睡したい」
「さっき会ったばかりで、そんな人と寝ていいの?」
「さっき会ったばかりで一緒に寝るだけで犯されないなんて、ぜんぜん問題ないですよー。浩輔の知り合いだし、なんか初めて会った気がしないです、ボクは」
聞けば聞くほどほんとに身体のユルい人だと思ったが、発作の時の僕も同じようなものなので、敢えてツッコむのはやめた。
「明日、なにか予定あります? 日曜日ですけど」
「特に無いけど」
と聞かれるままにに答えた直後、嘘でも予定があるって言えばよかったと後悔したが遅かった。
「泊まってって下さい…パジャマ貸すから、お願いします! マリア様!」
「マリア様じゃないでしょ」
「それにボク、どうせ明日の昼から東京の学会に出なきゃなんないし。朝早く起きて出ますから、それまで、ね? ね?」
「あの…」
「どうせあと1ヶ月は会いませんから…」
「なんでそうも強引なの?」
「だって…こんな眠くなることないですもん…あ、そうか。やっぱり岡本さんをもってしてもお泊りの負荷試験は自信がないと。まぁ、そうですよね。ベッドで一緒に寝たら、さすがにいくらなんでも欲情しますよねぇ」
「君のほうが危ないんじゃないの?」
「いいえ。ボクは強引に迫られない限り安全圏」
「ああ…そう。じゃあ、そうです。さすがに一緒に寝たらなにするかわからないから、今日は帰ります」
「あああ! ずるーい! それずるい!」
「ずるいのは君でしょ」
「わかった! 行くならボクを倒してから行け! ボクの屍を踏み越えて帰ればいい!」
そう言うと佐伯陸は僕の胴に手足を回してしがみついた。
「離さないですからね」
「君と幸村さんは似てるなぁ」
「どっどこがですかっ」
「強引なとこが」
「欲望に忠実なのです」
「コアラですか…君は」
「欲望に忠実なコアラなんですっ」
これ以上の言い合いは無駄だと判断した。ほんとに仕方ない。
「明日、何時に起きるんですか?」
「6時半ですやったー! シャワー浴びましょ、シャワー。でもってすぐ寝ましょうよ」
「何でも好きにすれば」
「じゃあ、バスルームこっちです。あとでバスタオルとパジャマ脱衣所に置きますから。あと、歯ブラシ、お客さん用の出しときます」



