・幸村さんに会いたくない気持ちが88%
 ・現場写真の46枚目の概要を確認せねばならない義務感が12%

 …というのが翌日からの僕の気持ちの内訳だった。会いたくない気持ちが7.3倍ほど勝っていたので、取り敢えずここのデータベースで自殺の轢死体を、文字だけの閲覧で検索してみた。画像はパス。

 自殺は僕に最も影響を及ぼす「縊死」が手段として最も多い。男女ともに自殺者全体数の60%前後をいつもキープしている。それに比べ電車や自動車などに飛び込む「飛び込み」自殺は2〜3%前後しか無い。データベースには死因の検索機能があり、自殺は更に手段別に検索できる。

 とは言うものの、自殺の解剖率は全国で4%だ。全体の解剖率は11%、日本は先進国でも無類の解剖嫌い国家と言える。自殺とみなされる異状死体は検視段階で色々と理由を付けられて解剖されないことが多い。犯罪の見逃しを危惧する声も法医学者の間から出ているが、異常なまでに低い予算を増やそうとしないのがそもそも司法の親玉の警察庁なのだから、意図を疑ってしまう。死因が特定されないこと、それを操作できることを裏で重要視しているのではないかと。

 スウェーデンやフィンランドのように異状死なら100%解剖する、予算も潤沢、となったら、偽装殺人などはなかなかハードルが高くなってしまう。我が国の司法の番犬はそんなことを危惧しているんじゃなかろうか。密かにこのいい加減な現状は巧妙に維持されている…などと勘ぐりたくなる。そうでなければ、先進国とか何とか言われているこの国のこの現状が放置されている合理的な回答が見つからない。

 先日の46枚目の現場写真はそんな状況の中で息をひそめているのかもしれなかった。そして該当するようなデータは、文字の中からは見つけられなかった。ここにない…それはもしかしたら解剖すらしていない、という可能性も大いにあった。いつものように幸村さんが食い下がっても、検視段階で強引に「自殺」と処理された可能性も否めなかった。