「君と二人っきりでと検証できるのここしかなくてさぁ…取調室使いたいとこだけど」
「検証…なにを検証するんですか」
「ほら、岡本君俺に言い切ったろ。あれだけ自信有りげに言い切られたらさ、こっちも確かめないわけにはいかなくなるよね」
「でも、もう自供したんでしょ? それでいいじゃないですか」
「あ? それでいい?」
「…なにか問題でも?」
「よくねーだろ。君がシロでもあんな非科学的な言い訳されちゃ、こっちが納得行かないんだよ」
「言い訳…?」
「咄嗟に出たのか、あれ。おまけに自殺は苦手だとか抜かしやがって…」

 そこで僕はようやく彼が怒っている理由を理解した。こんな責められ方前にもされたことがあるな…と僕は軽い絶望感の中で不意に、隆に髪の毛を掴まれてオカルトだと怒鳴られたことを思い出した。そうだった。これが普通の人の反応だ。僕は自分の迂闊さを今更ながらに思い知った。だがもう遅い。

「…自殺の遺体の件ですか」
「説明いいから、証明しろ」
「え?」
「ゴタクはいいから。俺が納得したいの。わかる?」
「いえ」
「いや、分かんなくていいや。後ろめたくないなら俺の言う通りににしてくれるかな。協力しないってことはお前、結局出来ないんだろうな。わかるわ、うん」
「…ずるい言い方ですね、それ。堺教授に聞いたんでしょ。僕がそういう人間だって」
「堺さんは部下はかばうだろフツー。いいじゃねーか。そんなに掛からんよ。逆に時間がないんだわ。9時までには保管室に返却しなくちゃなんねーし」

 そう言うと手に持っていたファイルケースを開けて、中身を取り出した。

「や…やめてください…」

 幸村さんの手の中のそれを見た途端、僕は震えた。

「へぇ、苦手だから? それとも君の切ったタンカが嘘だから?」
「嘘じゃない!」
「じゃあ、やってくれるよね。俺、これ選ぶの結構手間ひま掛かったんだぜ」

 ニヤッと笑って僕に見せたそれは、数十枚はあろうかという写真の束だった。