僕を止めてください 【小説】





 数日後に松田さんに犯されている最中にその傷が見つかったらしく、意識が戻った後に問いただされた。自分で切り取ろうと思ったらオナニーで初めてイケた、と言ったら、オナニーしたことがなかったのを驚かれた。肉体を無視してたのにオナニーできるわけない。だいたいあの写真集を見て勃起して、おまけにあなたに犯されて以来、僕は自分が生きてる肉体に入ってるということを思い出しちゃったんだ、でもまあ、あの写真集はとても良いので我慢してる。そう言った。それを聞いて彼はまたこの前訊かれた質問を僕にした。

「僕のことさ…どう思うようになった? あの時と変わらないかな…」
「変わりません。あ…でも、ちょっと変わったかな」

 それを聞いた彼はいきなり僕の肩を掴んで、僕の目を見つめた。

「どんな風に? どんな風に変わったの?」
「僕はイケなかった時は、佳彦に首を絞めてもらわなければ自分の身体も思うように出来ないって思ってたんですが、なんとか自分でイケたので、これで佳彦がいない時でも苦しくなくなるなって…」
「それ…状況が変わっただけでしょ。ぼくに対する思いじゃないよ」
「あ、そっか」
「まだ…興味ないんだ…」
「わかりません…」
「裕はさ…誰でもいいの? 誰に落とされてもイクの?」
「わからないです。佳彦にしか落とされたことないので」
「そういうことじゃ…ないよ」
「じゃあ、どういうことですか?」

 彼は黙った。うつ向いて何かを考えてるようだった。少し経って彼は怒ったように僕を抱き寄せた。そして首や顔に乱暴に指を這わせ始めた。

「いいの? 裕…誰かに犯させちゃうよ? 僕以外の誰かにさ」
「なんで…ですか…?」

 彼はフフっと笑っていきなり僕の後ろ髪を掴んだ。僕の頭が前後に揺れた。