戸籍の証明書は、戸籍謄本も除籍謄本も同じ申請書で申請出来る。戸籍謄本、戸籍抄本、改製原戸籍、などの証明書の名前が並んでいる表がある。前回戸籍謄本を取りに行ったときに、必要な証明書の欄の“戸籍謄本”のチェックボックスにチェックを入れて提出した。今回はその用紙の“除籍謄本”にチェックを入れればいいということになる。
申請書の記入用のテーブルの上には各種の申請書が並んでいた。その中から戸籍に関する証明請求書を1枚取った。自治体によって書式はかなり異なっているが、今の住所地の申請書より、ここの申請書のほうがフローチャート式になっていてわかりやすかった。書く内容は同じなんだけど。
結局、使用目的に「実親の調査」と書いた。これで通るのかどうかは不明だ。さすがにこんなことまではネットの検索でも出ては来なかった。整理券はどこの市役所でも同じなようで、指示通りにボタンを押すと、数字の書いてあるレシート状の紙を機械が吐き出した。この前はガイドさんが居てくれたが、ここは土曜日だからか、いつもなのかわからないが、誰も寄っては来なかった。僕は“戸籍の証明書の申請”と書かれた窓口の前のソファに座り、あの時と同じように順番を待った。同じことをしているような変な気分だった。デジャヴとでも言うんだろうか。土曜日のサービスには思ったより利用者が来ていて、僕はしばらく待たされた。
(ねぇ、ちゃんと…くれるかな…?)
小さい裕が、待ち時間を待ちかねたように小さく呟いた。
(大丈夫だと思うよ。待ち時間長くて飽きちゃうね。みんな土曜日しか空いてないんだね。人がどんどん来る)
そんな風に小さい裕に答えているうちに、自分の番が来た。
「475番の方、窓口までお願いします」
呼ばれてすぐに席を立った。窓口で係の人に書類を渡し、あの時と同じ身分証明書をカウンターの上に置いた。お願いですから、滞り無く書類を出して下さい…と僕は小さい裕のために心の中で願った。



