僕を止めてください 【小説】





「あの…すみません…僕…わかりません」
「そ…そうなの?」
「はい…だって僕は生きているものには興味がないんで…」

 それを聞いた彼…佳彦は、愕然とした顔をして僕を見下ろした。

「本気で…言ってるの?」
「嘘はつけないです」
「だって…だってあんなに気持ちよがって…僕のこと拒否しなかったし…もっと絞めてって…よがって…2回もイッて…」
「だって…気持よすぎて…たまらなくて…」
「マジで…?」
「本当です…嘘はつけないって言ったでしょ」
「僕のこと…どう思ってるの? ホントはどう思ってるの?」

 彼は僕の肩を両手で掴んだ。

「…わからないです。ごめんなさい。好きとか嫌いとか…生きてる人に思ったこと無くて…」

 彼は脱力したように、僕の隣にどさっと座り込んだ。

「裕…嫌いじゃ…ない…よね…。少なくとも、嫌われてはないよね」
「はい。あの…」

 僕はその時、大事な事に気づいた。

「嫌いって、どういうようなモノですか?」
「え?」
「嫌いって…どういう感情かなって…」
「なに…それ…」
「教えてもらえないですか?」