好き? 嫌い? どう思うの? どう感じるの? 大事なんだね…小島君が。大事…わからない…わからないんだ…
そのとき隆が僕の前に座った。そして両手で僕の肩を掴んだ。
「わからなくてもいいんだ…変わる必要なんか無い…ないんだって」
「うそです。それはうそだよ」
「うそでも…いいんだよ…裕」
そういうと隆は僕を抱きしめた。ああ、いつもの隆の身体だ…と、僕はそれに包まれてそう思った。いつの時も僕は隆にこうやって包まれてると感じた。それは僕にとって生きている人がくれる最大の心地よさだった。
気持ちいいね。なんだろうね、これって。僕はこれが好きなんだな。セックスなんてしようと思わないけど。しようと思ったこと無い。初めて電話したときに抱かれたいって最初思ったことも、結局これが僕は好きだった…それだけだったのかな。
ああ、それだけだったのかな。それってなんなのかな。これはなんなのかな。この包まれる感じは…僕は味わったことがなかった。これってなんなの…か…
(この子はイクとかイカないとかを求めてないだろ。君に違うものを求めてるだろ)
あの時初めて会った寺岡さんに言われた言葉がフラッシュバックした。
違うものを…求めてる…僕が…僕がなにを求めてる? セックスじゃない、それはなに? それは僕が知らなかったもの。知らなかった…もの…
「ぼく…知らないから、わからないけど」
それを言ってしまったら、すべて終わるような気がした。でも僕は止まらなかった。



