「で、なんで首絞められることになったんだっけ?」
「意識のある人とはセックス出来ないって言ってました。萎えちゃうんですって」
「で、落とすの?」
「そうです。意識が戻るとまた落とされて、彼がイクまで続きますね」
話しているうちに、記憶が少しづつ蘇ってきた。
「で、君はなぜか落とされる寸前でイクと」
「はい。松田さんもすごいって言ってました。ほんとにこんな子いるんだ、って。それもすごく良かったんだそうです。初めてだったみたいです。僕だって松田さんに絞められるまで知りませんでしたが」
「まぁ、いるよね、落ちる感覚が気持よくてそれで首絞めオナニーする人」
「はい。言われました。自分でやれないかって松田さんに相談したら、死んだら恥ずかしい姿で家族に見つかるからやめなよって言われましたけどね。でも死人に羞恥心はないですからと、反論したんですが、教えてはくれずじまいでしたね」
「キッカケは自殺の写真集だったって聞いたけど?」
「ああ、それは僕に個人的に接触したキッカケですね」
「それと、自殺の画像で性欲が爆発…っていうのか…発作的に気が狂うっていうか?」
「ああ…はい。それです」
僕は話しながら、感覚が蘇りかけていた。それはなんとも言えない、快とも不快とも言えない変な感覚だった。
「最初に本借りて、そのときもおかしくなったの?」
「いえ、そう言えば、まだそこまでおかしくはならなかったかも。でも衝撃的でした。僕の中に熱があるのを感じちゃったから。身体が生きてるのが違和感でたまらなかったです。ほんとは死んでたのに。でも拒めば拒むほど大きくなるんです。快感も嫌悪感も」
「あぁ…そっかぁ。抑圧だねそれ。自分の熱とか性欲とか感じるのがいや?」
嫌に決まってるだろう、と僕は思った。嫌じゃなきゃこんな苦しまないし、気も狂わない。



