「まだ、具体的に日時とか決めてないです」
「そうか。期待は出来ないかも知れないけど、あいつは色々なこと知ってるからな。手掛かりくらいは掴めるかも知れねぇしな。人脈もあるから、良い専門家を紹介してくれるかも知れねぇし。あいつのアヤシさに耐えられたら、だけど」
「隆のことで、色々と電話で話したので、前より慣れました。心配するほどのことはないのかもしれないです」
「まぁ、俺も行くから。約束だしな」

 あんなに嫌がっていたことを、隆は自分から言ってくれた。

「でも…もう俺はお前を絞め落とすのは出来ねぇから」

 そうだった。隆の気持ちとしても、僕の身体の状態としても、僕の自殺屍体の発作を終わらせるには、絞め落とすことができなくなっているのだった。

「はい。わかってます。病気のこともあるんで、ほんとに死ぬことがあるようですので、皆さんにも迷惑がかかりますから」
「ごめんな…ほんとにごめん」
「隆のせいかどうかはわからないから」
「それでも、いちばん可能性が高いんだし」
「…死にたがってたのは…僕だ」
「言うなよ、それを」
「でも…本当ですから」
「今でも、そうなのか?」
「今は思考の中にはないです。なんだか僕、病院で失神してからいつの間にか松田さんに会う前の状態に近づいた気がするんで。そうすれば、わざわざ死のうとかは思ってなくて」
「そう…なのか…」
「はい。だからもしかして僕、あんな発作、もう起こさないかも知れません」
「俺がリミット超えたみたいにってか?」
「そう…そうですね。それが僕にも起こっているかもしれないです」

 それは可能性として思っていたことだった。佳彦の呪いが無効になっている可能性が。

「だから、隆と一緒に寺岡さんと会って、それで確認ができればいいかなって。確認作業は寺岡さんとだけでも、隆とだけでも、なんか良くない気がします。3人のほうが冷静でいられるというか…面倒かけますが」
「まぁ、言いたいことはわかるわ。俺はまだリハビリ中だしな。お前を扱うのに咄嗟にフラッシュバックでも起きかねねぇしな。寺岡はお前の発作は初めてだし慣れてねぇし。3人が良いわ。とりあえず予定決めて連絡くれや」

 ウェイトは隆から僕の問題に移った。少なくとも、なにか隆に言うのはその件の後でもいい。そう僕は思うことにした。