「本人に聞いてみた?」
「いえ、まだです。でも本人わかっているんなら、あんな反応はなかったんじゃないかって思うんです」
「まぁ、そうかもね。でもそうしたらなおさら君の力技かも知れないよね」
「ということは、力技は効くってことでは?」
「ああ…なるほど。君くらい変人で小島君好みのビジュアルにドンピシャな子を探して来いってか。笑っちゃう」
「難しいですかね。いや、もっと年上でいませんか?」
「難しいよ。自分じゃわかんないだろーけど。それに年上って…さらにハードル高いなぁ」
「とにかくこうなったのは小島さんの自衛隊時代のトラウマが緩和されてきたからなんですよね?」
「まぁ、そういうことになるね。でもさ、小島君って小さい頃から両親の仲が悪かったり、父親は不倫して出て行っちゃったり、結局は離婚してるし、トラウマは自衛隊時代の前からけっこうあるんだよね。心理学的に…って言っても私もそんなには詳しくはないけど、社会に出てからのハラスメントとかって、子供の頃の家族の人間関係に原因があるとかっていうじゃない? 虐待する人は親から虐待されてた人とかって言うしさ。だから私は密かに小島君の職場トラウマは、少年時代に起因するものと見てるんだよね」

 それを聞いて、僕ははっとした。隆が願ってた“永遠”は、自分の家族が失ったものだと。そして隆は、出て行った父親のようにはなるまいとして、そうなっていってしまったと。それを僕に吐き出して、隆は泣いていた。